ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

うつ病再発〜セロトニン編〜

うつ病再発」なんて書くと、さも一度は克服したかのように受け取られてしまいそうだけど、実はまだ治療中でした。職場も変わって、2年経ち、抗うつ剤の服用量も徐々に減らしている最中でした。


で、私って本当に馬鹿だなぁ、と思うのですが、減薬を焦りすぎていたんです。一日も早くこの薬に頼らなくても元気に過ごせる自分になりたいと、知らず知らずの内に、自分の今を過信していたんですね。


「あれ、おかしいな?」と思い始めたのは、6月の終わり頃でした。何をやるにも体が重く、肩や首が凝り、朝起きるときに体に力がまったく入らないのです。ベッドから体が起こせず、「遅刻します」とか、「先方に直行します」とか、言い訳メールを送って、スタッフとスケジュール調整をしていました。ところが、あれよあれよという内に、食欲が落ち、気分が落ち込み、歩くのも精一杯な状態になってしまい、「しまった、再燃させてしまった!」とその段階で初めて気づきました。


気づいてからもしばらくは「仕事に穴をあけるわけには行かない!」と出張にも出かけていたし、客先にもちゃんと足を運んでいましたが、ある日の夕方、「もう駄目だ」と声に出してしまったほど、限界がきました。電話が取れない、パソコンのメールを開くのが怖い、クライアントと会うのが怖い、隣のスタッフに何か質問されるのがわずらわしく苛立つ、中国語が聞きたくない、タクシーにもバスにも乗りたくない、早く家に帰りたい、と切実に思うようになった瞬間でした。「もう駄目だ。これ以上、がんばれない」と涙が流れました。


翌日から私は会社に休暇届けを出し、今、休んでいます。もうすぐ一ヶ月になります。


だいぶ元気になってきたので、ちょっとブログを書いてみようという気になりました。


うつ病について詳しい方は、一度は目にしたことのあるものだと思いますが、うつ病治療に一番大事なのは、休養です。ひたすらダラダラ過ごすことです。二つ目は、薬で症状を緩和させることです。私が今服用しているのは、セルトラリン(日本での販売名はジェイゾロフト)という抗うつ剤で、選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)と呼ばれる第三世代の抗うつ剤と言われています。


セロトニンというのは、脳内にある伝達物質です。ノルアドレナリンドーパミンなどの暴走をコントロールしてくれる指揮者のような存在で、セロトニンが不足するとさまざまな症状が現れます。うつ病もその一つです。卵が先か、鶏が先か、という話になりますが、ストレスに耐えられなくなってセロトニンが不足してしまいうつ病にかかるのか、それとも、もともとセロトニンが不足していてストレスに耐えられなくなりうつ病を発症するものなのか、私は医師ではないので、よくわかりません。でも、一つ思い当たることは、私は子供のころから、セロトニンレベルを下げるような生活習慣を持っていました。


運動が嫌いで、体育の授業はサボりまくっていました。リズム運動をしないとセロトニンは活躍してくれません。それから、朝起きるのが苦手で、起床と同時にバスに乗り、学校へ行くような子でしたから、朝の太陽の光をまともに浴びたことがありません。社会人になってからも地下鉄通勤が多く、しかもほとんど室内での仕事でした。朝晩逆転するような残業に次ぐ残業で、「太陽ってまぶしくて嫌い」といつしか思うようになってました。セロトニンは、朝の太陽の光によって活動をコントロールしているそうで、すっきり爽快な気分にさせてくれるのも、夜になると眠くなるようにしてくれるのも、元をたどると、このセロトニンの働きによるものなのだそうです。太陽が嫌いな私は、ぜんぜん、セロトニンと縁のない生活リズムを持っていたということになります。そのほか、食事などからもセロトニンを増やす方法があるそうですが、私は、卵が先か鶏が先かの問題で言えば、おそらく「このセロトニンが先で、うつ病になった」のではないか、と考えています。


朝目覚めが悪いと、会社に嘘ばかりつくようになります。嘘と言うと聞こえが悪いので、「言い訳」とでも言っておきましょうか。年中、遅刻の言い訳をしなければなりません。こういうことを繰り返していると、当然、良心の呵責にさいなまれます。私は仕事はちゃんとやる人間ですが、生活がこんな風では「駄目人間だ」と思うようになるんです。で、だんだんだんだん、自分を追い込んで行き、最悪、自殺願望が芽生えます。


ところが、私は、科学的なことと、精神世界のこととを、両方結びつけて考える習慣があり、「死にたい」と思うと、神様に祈りを捧げるのです。「神様、死にたいんです。もうこれ以上、生きていても、苦しいだけです。これ以上の苦しみにはもう耐えられません」と祈るのです。すると、不思議なもので、マンションの窓から地上を覗き込んだ瞬間に、フッと現実に意識が返ります。「これは今、うつ病の症状が死にたいと思わせているだけであって、私は死んではいけないのだ。本当は死にたいわけではないのだ」と瞬時に意識が切り替わります。女神アテナが助けてくれたり、小さな天使が助けてくれたり、インドのガネーシャが私の苦しみを太い足で踏み潰してくれたこともありますし、お釈迦様が守ってくれたこともあるし、龍神や朱雀が空を舞い見守ってくださったこともあります。なんとまあ、節操のない宗教観ではありますが、つまりここで言いたいのは、「私は一人ぼっちではなく、いつも守られているという感謝の気持ち」に救われた、ということなのです。


ここしばらく「禅」による瞑想をしていました。セロトニンを増やす有効な方法として、禅やヨガなどの呼吸法があります。腹式呼吸と呼ばれているものですが、胸を大きくふくらめるような感じで深く息を吸い、ちょっと止めた後、今度は息を遠くへ飛ばすような気持ちで意識的に吐き出します。体に柔軟性がないので、半跡朕座(はんかふざ)という、完全な座禅の組み方ではなく片足だけを太ももに乗せる座り方ですが、続けているうちに痛みも感じなくなり、少し股関節が柔らかくなってきたような感じです。


また、リズム運動を提唱する学者も多く、頭の中でリズムを意識的に刻みながら、15分から30分程度のリズム運動をしています。セロトニンが活性化するまでに、約5分を要するそうで、なるほど、音楽に合わせて体操をしていると、5分くらい経ったあたりで、体が熱くなってきてうっすら汗をかき始めます。セロトニンの活動は、リズム運動を15〜30分行った辺りでピークに達するので、そこで終了です。もっとやったらいいじゃないか、と体育会系の方はおっしゃるかもしれませんが、実は「疲労」がセロトニンの天敵で、疲れるほどやってはいけないというルールもあります。「ああ、いい汗かいた! すっきりした!」と爽快感を味わったところで、ストップ! これが原則なのです。今、EXILEのCDを聞きながら、毎日17分間リズム運動をしています。


さらに、寝る前が一仕事。以前から服用していた睡眠導入剤が効かなくなってきていて、規定量1錠のところを1.5錠服用し、医師にしこたま叱られました。それで、夜寝る前にヨガによる瞑想を行っています。部屋の電気を暗くし、小さな明かりだけを付けて、「夜になったから、寝るよ」という信号を脳に送ります。そして、リラックスするために、お香やアロマオイルを焚きます。薄暗い部屋のフローリングにヨガマットを敷き、マントラのCDをかけながら、20分ほど呼吸を整え、体をほぐす軽いストレッチを行います。至福の時間です。マントラは、私にとってなくてはならないもので、一日の終わりに「感謝の心をみんなに伝える」唯一の言葉なのです。ヒンドゥー語だったり英語だったりラテン語だったり、あるいはどこの国の言葉なのかもよくわからないマントラ集なので、どれほどのご利益があるかわかりませんが、どうやらセロトニンを増やすには効果があるようで、とても気持ちが良いのです。


さて、このようにセロトニン増加運動を毎日続けていますが、そう簡単には結果は現れません。なんらかの変化が現れるまでに、約3ヶ月を要するとのこと。脳の中って難しい仕組みになっているんですね。11月くらいには、何かしら良いことが訪れるのではないか、と期待して、毎日EXILEマントラな日々です。で、更にうれしいことに3年以上継続すると、子供の頃からの不摂生がたたって慢性化していた睡眠障害も克服できるかもしれない、とのこと。そいつは、スゲーヤ! 本当に寝つきと寝起きが良くなったら、『セロトニン増加は中国でも自分でできる』っていう本を書いてやるぞ。待ってろ、全世界の寝ぼすけさん達よ!!