ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

空気が淀むと、政府が日本に石を投げる件

今日の空気の汚れ具合と言ったら、筆舌に尽くしがたいものがありました。春の嵐のような強風が吹き、街中真っ黄色。黄砂の混じった汚染物質が、外界を支配している雰囲気でした。ちょっとゾッとするような眺めです。


もちろんこんな日は、一歩も外に出ずに、家でおとなしくしているに限るのですが、部屋の中にいても、喉がいがらっぽく、くしゃみを連発。こんなとき、建築施工技術の未熟さが市民を苦しめます。


でも、中国人は外出しても平気なんです。マスクもほとんどの人が着けていませんし、大気汚染問題そのものに興味が全くないという雰囲気。


確かに、空気の悪さは今始まったことではありません。私が初めてこの町に来た10年前も、うっすら霞がかかったような空気でした。だから、みんな今さら驚きゃしないよ、という反応なんでしょうが、マスコミが全くこの問題の深刻性を強調しないのが、一番の問題のように思います。


先日、日本の某テレビ局の方が、私の住んでいる町に大気汚染の取材にいらっしゃいました。現地コーディネーターの中国人が北京の人で当地に不案内だったため、私がちょっとお手伝いさせていただきました。北京での取材の模様は、オンエアで見させてもらったのですが、びっくりしたのは、インタビューに答えていた北京の老人が、「大気汚染なんて感じていません。むしろ新鮮ですよ」と白々しく答えていたことでした。


これは局が捏造したものでは決してありません。その老人は、テレビカメラに対して、大真面目にそう言っているのです。つまり、その老人は、「国家に対する愛情」すなわち、政府に対して反論を持たない姿勢を、日本のテレビ局のカメラの前で演じてみせているんです。もっと悪い言葉で言ってしまうなら、「国家に媚を売っている」「市民としての点数稼ぎをしている」ということです。


老人世代には、こういう人が大勢います。毛沢東の時代に、人民公社で働き、隣近所の人たちと、同じ食堂で同じ飯を食い、共産主義の理想国家をみんなで作ろう! と高揚した連帯感を持っていた人たちです。いってみれば、彼らの栄光の青春時代。団結力という美しい言葉を、実体験で味わい、そして、大躍進政策の失敗により、転落してもなお、毛沢東を愛し、崇拝する人々なのです。だから、こんなに汚れた空気の中で生活していても、「新鮮です」と平然と言ってのけることができる。青春の思想を持った人なんですね。


しかし、私は彼らを非難する気持ちには全くなれません。ご老人は、肺や心臓に負担を与える大気汚染に敏感なはずです。極端な話をしてしまえば、この大気汚染を毎日吸い続けることで、身体に障害が出たり、亡くなってしまった場合でも、彼らには、それが大気汚染によるものだと証明することができません。また、亡くなった老人の家族は、老い先短かった我が父母の命の責任を国に求めることはせず、我が子を守るためだけに生きる道を選ぶでしょう。もし、それが小さなムーブメントを生めば、「子供を大気汚染から守ろう」という親達が、少しずつ運動に参加するはずですが、そうなる前に、国は興味の矛先を、相変わらず日本にすりかえるという旧態依然とした方針を崩しません。


昨今、中国の若者達は、「いつ日本と戦争になるか?」という話題が大好きです。残念ながら、偶然小耳に挟む以外、日本人の私の耳にその話が入ってくることはありません。ですが、一度、この手の話になると、「日本が戦争をしかけてくるから…」と二言目には、その台詞です。全く政府報道の受け売りで、うんざりします。「軍隊を持たない日本が、どうやったら戦争を仕掛けられるの?」と笑いながら問い返すと、若干回答に行き詰る人が多いのですが、「挑発するということは、戦争する気があるということじゃないのか?」と反論してきます。本当に、負けず嫌いな人たちです。


口では絶対に負けたくない、逆に言えば、言い負かすことで勝ったと信じる中国人の気質は、本当に困ったものです。議論に終わりがなく、話し合いにならんのです。


今日も、外相が記者会見で、「現在の中日の情勢は、日本が作り出した」と一方的に牽制球を投げてきました。そのくせ、「戦略的互恵関係」を安倍内閣と共に築いていきたい、と言った話に飛んだりしています。要は、言いたいことは言わせてもらうが、仲が悪くなるのは嫌なんだ、ということを言いたいわけなんですね。日本は、あまりに物をはっきり言わなすぎるけど、中国はその日本との外交で、ちょっと言い過ぎの感もあります。二国間で解決すべき問題は、互いの国の思考特性をよく見極めて、要領よくやらないといけませんよね。ただね、日本は、民主党政権でアホ丸出しの外交を見せてしまったので、中国も正直、どうしたらいいか分からなくなっているんだと思います。とにかく、政府のみなさん、ちゃんと勉強して、外交してくださいよ〜! 空気が悪くなると、また叩かれますからね〜。