ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

負うた子に負われ

最近、仕事でちょっと困ったお客様がいて、手を焼いていました。お客様は神様だと言いますが、こんな神様は迷惑だ、と思っていました。もっとビジネス的に言えば、「リスクの高い客」という意味で、このお客様にかかわっている時間と人員を、別の新規顧客獲得に当てれば、どれほど会社に利益をもたらすか……などと眉間にシワを寄せていたんです。


今日、ある部下が私のその愚痴につきあってくれていたのですが、その部下に言われたのです。

「yueyaさんしか、頼る人がいないんですよ、そのお客さん。でもプライドが邪魔をして、本音が吐けないんじゃないでしょうか。かわいそうな人です。yueyaさんが、平社員でもっと時間があって、そのお客さんと腹を割って話すことができたら、もっとうまくいくような気がします。だってyueyaさんは、いつもお客さんと対等に話をして、相手の懐に入って、何にも語り合わなくても心と心、目と目で仕事が進むじゃないですか。そのお客さんは、yueyaさんのそういう仕事ぶりを聞きつけてウチの会社と取り引きをしたいと言ってるんだと思いますよ。だから、yueyaさん以外の担当者を拒むでしょう?」


私はこの部下と初対面のときに、なんて覇気の無い消極的な子なんだろうと思い、毎日説教を続けたことがありました。何のために大学を出て、何のためにこの会社にいるのか? そんなにつまらないなら辞めてしまいなさい。人生の無駄遣いですよ。でも、この会社でやりたいことがあるなら、もっと楽しく仕事をしてちょうだい。一人が暗い顔をしていると、みんなに伝播していきます。ものづくりの環境で、クリエイターが楽しまなければ、受け取る側は、退屈します。とにかくみんなを笑顔にできるような、そういうクリエイターになってこそ、プロですよ。と毎日毎日彼に語り続けました。


その彼は、この1年の間に見違えるように変わり、いつも机にかじりついていた人が、外へ出てネタを探してくるようになったし、会社全体のことを考えて、さまざまな提案書を書いたり、今日みたいに私の愚痴まで聞いてくれるほど成長してくれました。


あの厄介なお客が、私に腹を見せたがっているのだ、ということに初めて気づかされ、少し世の中の見え方が変わった気がしました。負うた子に負われ、とはよく言ったものです。私には自分の本当の子供はいませんが、気がつくと、私の部下はみんな80年代生まれの若者たちばかりになっていて、我が子のように叱ったりかわいがったりしていたのです。子に負われ、心のやすらぎを感じることができるなんて、本当に私は幸せだなぁと、今日はちょっと涙ぐんでしまいました(><。)


うれしいもんですね。育てた子に教わるって。部下がかわいくて、仕方がありません。また、おぶってね。もう足腰弱ってきたおばちゃんだからね。助けてね。