ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

蜘蛛

私の部屋の前のベランダに、2〜3日前から蜘蛛の巣が張っていました。エアコンの室外機とベランダの手すりとの間に橋をかけるように造られた巣は、大きくて綺麗な巣でした。蜘蛛を見るより先に、その職人芸のような巣を見てしまったものだから、情け心が湧いてしまい、その巣を壊す気になれず、放っておきました。それで、タバコを吸うためにベランダに出るたびに、その巣を眺めては、きれいだなぁと癒されていたのです。変なおばさんですみません。


ある晩、いつものように一服吹かしているいると、ブーンをいう耳慣れない大きな音が近づいてきて、私のすぐ目の前を、見たこともない大きなカナブンのような姿をした虫が横切っていきました。あっ! 蜘蛛を狙ってきたんだ! と遅れて気づきました。暗がりの中を目を凝らしてみると、蜘蛛がいません。やられたか? と半ばあきらめに近い気持ちで虫を探すと、虫は私の足元に落ちてもがいていました。蜘蛛をくわえてはいません。


蜘蛛は、一瞬の判断で、身をかわして、ベランダの隅で身構えていました。私はほっとして、虫をつまみあげて、ベランダの外へ放すと、蜘蛛の巣に目をやりました。驚いたことに、蜘蛛はもう巣の真ん中で手足を広げて、揺れていました。スパイダーマンの原作者スタン・リーの気持ちが、なんとなくわかった気がしました。