ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

酒屋の息子殿

私は毎日、2本ずつ、ミネラルウォーターを買います。結構重たいので、いつも家から一番近い酒屋で買います。夜遅くまで開いているので、大助かりです。その酒屋では、夏場はアイスクリームを買ったり、ときどきタバコを買ったりします。


この酒屋は、たぶん私より少し年下と思われるご夫婦が切り盛りしています。小学校低学年の息子さんがいるので、やけに所帯じみた空気感のある店です。彼がもっと子どもだったころ乗って遊んでいたと思われる、立派な木馬が店先に「放置」されていたり、奥さんの髪がちゃんと手入れされていなかったり、“細かいことに構ってられないのよ”的な家族の姿が伝わってきます。私は嫌いじゃないです。


私がその店に行くたびに、毎回2本ずつお水を買うので、最近ではほとんど接客サービスらしいことは何一つしてくれなくなりました。まだ封の開いていない入荷したまんまのミネラルウォーターのパッケージを、私は自分でこじ開けて、5元置いて、“再見!(さよなら)”とだけ挨拶して帰るというスタイル。親父さんがパソコンゲームに熱中している時なんかは、パクっても気づかないんじゃないかと思うこともしばしばです。


とっころが、最近、先述の息子殿が商売に興味を持ち始めたらしく、しきりに私の世話を焼くようになりました。当然のことながら、彼は中華人民共和国の掟に従い、1人っ子(昨日の発表で、これからは多少の緩和策が講じられるようですが)。甘やかされて育ったせいか、栄養状態はすこぶる良好(?)なのですが、典型的なもやしっ子。たくましい外見とは裏腹に、非力で非力で笑っちゃうくらい非力で、これには親父さんも頭を掻いています。彼は、私がいつも買う水のパッケージを開封できないのです。


私はいつも部屋の鍵の先っぽを使って、ラップフィルムに穴をあけ、缶きりの要領で、そのまま鍵をグイッと一文字に進め、ラップが裂けた隙間からボトルを取り出します。しかし、息子殿にはそれができない! かなり硬いラップなので、非力な彼には穴すらあけられないのです。


いつも悔しそうな顔をするわりに、あきらめも早く、毎回、とりあえずトライしては、“だめだ!”とあっさり引き下がります。


彼が開封できるようになったら、またここでご報告したいと思います。子どもの成長は早いですから、その日は案外早く訪れるかもしれません。