ひだまりの居場所

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インターネットの規制

ネット利用者に「実名制」、中国全人代が可決
読売新聞 12月28日(金)19時41分配信

 【北京=牧野田亨】中国の全国人民代表大会全人代=国会)の常務委員会は28日、インターネット上での個人情報管理を強化する決定(法律に相当)を可決した。

 ネット利用者に身元情報の提出などを求める内容で、「事実上の実名制」との批判が出ている。

 ネット事業者は、契約時やサービス提供時に、利用者に対して正確な身元情報の提出を要求しなければならないとされた。さらに、利用者が発信する情報の管理を強化し、法規に違反する情報はすぐに発信を停止・削除したうえ当局に報告する義務が事業者に課された。違反した場合、罰金やサイト閉鎖、営業許可取り消しなどの対象となる。

 この決定について、ネット上では、「中国のネットの言論統制は世界の先端を行くのに、さらに実名制にするのか」などの批判が相次いでいる。

最終更新:12月28日(金)19時41分


メディアに携わる仕事をしているので、中国の検閲の厳しさは十分理解していますが、さすがの当局もこればかりは規制しきれないのではないか、と記事を読んで感じました。これまでも、当局には「金の盾」と呼ばれるネット検閲の集団がいて、いわば都合の悪い情報にはアクセスできないような処置を施してきましたが、要は、それが追いつかなくなってしまったということなのでしょう。ネットの規制は、本当にイタチゴッコで、取り締まれば取り締まるほど、誰かが抜け穴を作ります。私はコンピュータに詳しくないので、そういう抜け穴を利用したことはありませんが、中国国内で閲覧できないサイトのほとんどが、その抜け穴によって、アクセスできるようになっています。


実名制にしたところで、そもそも「身分証明書」(これは中国の戸籍に登録されている人は全員携帯しているもの)のニセモノがあふれている中国で、一体どれほどの効力を持つか、はなはだ疑問です。就職面接を受けるときに、自分の名前を偽って受験する人も大勢いるんですよ。容易に身元を明かさないことで、何かあったときに逃げやすい状況を作るわけです。当然、身分証明書もニセモノ。場合によると、いくつかの名前を使い分けている人もいるので、相当な数のニセ身分証が出回っているわけです。


そんな状況下で、実名登録制にするなんて、ちょっと笑い話にしか聞こえません。政府は本気で考えているのか、はなはだ怪しいものです。この法律が本当に施行されたら、政府は逆に自分の首を絞める結果になるように思います。ただでさえ不満が鬱積している人々が、ネット上の自由を奪われてしまったら、間違いなく暴力的破壊行為に出るでしょう。特にネット利用者の多くが、若年層から中年層にかけての人々ですから、何をしでかすか、わかったものではありませんよね。これまでは農村を中心とした貧困層が各地で暴動を起こし、それを鎮圧すれば済んでいた問題でしたが、ネットを規制することで、都市部への飛び火が十分に考えられます。敵に回す必要のなかった人々をも巻き込む可能性が広がるということです。


もうひとつ、私が思うのは、これを本格実施した場合、世界世論がまた中国を叩くだろうということです。それこそ党にとっては一番痛い仕打ちです。来年は、いっそう中国脅威論が語られる年になりそうな予感がします。あのね、これだけ大きな国で、そんなこといつまでもやってると、ますます置いてかれるよ。わかってんのかなぁ。


日本の皆さん、中国はもたもたやっています。私たち日本人は、次世代に「地球」を美しく受け渡すために、次の時代のことを考えていきましょうね。隣のでっかい国には、そんな余裕はないみたいですから。