ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

クリスマスはどうなった?

ここ数年、私の住んでいる中国のとある都市では、クリスマス前になると、街中の木々が電飾だらけになり、なにやら若者たちが浮かれていたのですが、今年はちょっと様子が違います。私の住む街の中心を走るメインストリートの街路樹にひとつもイルミネーションがなく、デパートもホテルもあまりクリスマス色を押し出していません。


レストランも一部の西洋料理店が、クリスマスメニューを打っているだけで、昨年まで中国料理でクリスマスパーティをしていた人も、どこへ行ってしまったのか、今日はあまり姿が見えませんでした。


理由ははっきりしませんが、私個人の考えでは、「中国人にクリスマスは合わなかったのでは?」という結論です。まず、中国は農暦(いわゆる旧暦ですね)で、一年を過ごしているので、日本人や欧米人、ヨーロッパ人などが感じる「年の瀬感」が希薄です。来年の春節旧正月)は、2月10日と、まだ1ヶ月以上先のことですし、西暦の年末年始のお休みも、日本とは全く異なり、31日はしっかり平常どおり出勤です。


以前にもここで書いたことがありますが、西暦の年越しカウントダウンとクリスマスは同じものだと認識している中国人は今も大勢います。24日からお祭り騒ぎが始まって、31日から1日にかけてが本番、というような解釈なんですね。まあ実際、「Merry Christmas and a Happy New Year!」などと書かれたグリーティングカードを貰ったりすると、キリスト教国でも同じような意識があるのかもしれませんが、中国人のイメージとは明らかに異なるものだと、私は思います。


それで、なぜ今年、急にクリスマス色が街から消えたのか、ということについてですが、率直に言って、「飽きたのではないか?」と……。クリスマスにはサンタクロース(中国語では生誕老人)がやってきて、よい子にプレゼントをくれる、というのはどうも中国人には合わない。なぜなら、贈り物は下心の表れで、見返りがない贈り物なんぞ絶対にしない人々ですし、親自体がクリスマスをよくわかっていないところへ持ってきて、子どもにサンタを信じさせる教育なんぞ、共産党がおそらく許さないでしょう。ああ、なんと世知辛いこと!


更に、日本人と決定的に違うのは、サラリーマンの年末の弾け方。日本の高度経済成長期は、お父さんたちは、毎日いっしょうけんめい働いて、家族のためにいっしょうけんめい働いて、働いて、日本の経済成長に大いに貢献し、年末ともなると、「ああ、もうすぐ年末年始の休みだ!」「その前に忘年会だ!」「やっと終わる!今年が終わる!」という、労働の後の開放感に満ちていました。だから、三角のトンガリ帽子にカトちゃんメガネをかけ、クラッカーを鳴らし、呑んだくれて、「めりーくりすま〜す!」と酔っ払って、寿司の折り詰めを片手に家に帰るのが、それなりに意義のあることだったように思うんです。家では奥さんが鬼の形相で待っているのが常ですが、この日ばかりは許されたことでしょう。


中国人は、基本的にそんなにいっしょうけんめい働かないし、たいていが夫婦共稼ぎで、小さな子どもの面倒はおじいちゃんおばあちゃんが看るのが普通。だから、そこには到底クリスマスやサンタクロースが介入できる余地はありません。若いカップルは、多少色気を出して、ムーディーなクリスマスを演出したレストランでお食事したりしますが、それも「お金を持っている若者にしかできない贅沢」なのです。


教会の周囲は、交通規制が敷かれるほど人と車が大混乱していましたが、それはキリスト教を信じる人たちが、集まっているだけで、あまり一般の人には関係がないようです。もちろん物見遊山で参加している信者以外の人も混じっていますが、今日は氷点下11度を記録したので、それも例年より人数が少なかったように思います。


中国人は、もうクリスマスには興味がないのでしょうか。春節の爆竹や花火に、一年のすべてを投入し、弾け飛ぶ! それがやっぱり中国らしいと私は感じずにいられません。日本はどうだったのでしょうか。相変わらず、イルミネーションしてる?