ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

ここは昔

日本でもバブルの建設ラッシュの頃、突然できた新しい店や建物を前に、「あれ、ここって以前は何だった?」と立ち止まって考えたりしましたが、今、中国の都市部はまさにその状況です。


まして、古い古い歴史を持つ土地だったりすると、市街化に規制が入り、自由に建物が建てられない分、ひとたび変わるとなるとガラッと変えたがる傾向が顕著です。


今日も、ある古い建物を取り壊し高級一戸建て住宅を建てたという場所を見てきました。昔ながらの風情を保ちながら、ホテル式サービスを打ち出す近代的高級住宅地に変貌していました。要するに、建物そのものは真新しいが、建築デザインがレトロというものです。京都などの市街化に似たものがあります。


さて、ここでふと思ったのは、「ここって以前は何だった?」ということでした。


どうしても思い出せなかったので、この住宅販売社のスタッフに聞いたところ、「ここ、以前はぐちゃぐちゃな安アパートになってたんですよ。建てたばかりのころは、お金持ちが住んでいたようなんですが、だんだん老朽化して、管理がいい加減になったあたりから、雑居地域になってしまって空家も多かったんです」とのお答え。


なるほど、そういう場所って、確かに印象が薄いから思い出せないのも道理です。「その前は?」「その前はテニスコートだったらしいですよ。古い文献に地図が残ってました」


私があまり昔のことばかり質問するので、「もしかして地域の歴史研究者か何かですか?」と言われてしまいましたが、「いえ、私がこの街で暮らすようになって、わずか数年の間に、めまぐるしく景色が変わるので、ちょっと興味があってお尋ねしたんです」と説明したら、深くうなずいていらっしゃいました。