ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

近い! 近い! 近い!

あなたは道を歩いています。向こうから自転車が右折して走ってきました。このままではぶつかるので、あなたは左に向かって斜めに歩き始めました。すると自転車もあなたの方に向かってきます。あなたは更に歩みを速め、一層左に寄ろうとしましたが、自転車も更にあなたの方に寄ってきます。そして、自転車はあなたの目の前を横切るようにして、あなたの左側を通ってすれ違っていきました。


日本人なら、「嫌がらせか?」と思うようなすれ違いですが、実はこれが中国人同士のすれ違いなのです。相手に道を譲るということは一切しません。人の前に入りたがるのが中国人なのです。


そんなに体すれすれのところですれ違って危ないと思わないのだろうか、と日本人なら誰もが思います。ところが彼らはあまりそんな風に思わないようです。


例えば、曲がり角のところに立ち止まっていると、ほとんどの人があなたの鼻先をかすめるようにして、角を曲がっていくでしょう。あなたの存在が目に入っていないのではないか、と思うほど近くを横切っていくのです。


エレベーターに乗ったときに、何となく均一に散らばる、なんてことは絶対にありえません。自分はここに立つ、と決めたら、テコでも動きません。自分に都合が悪くなったときだけ、自発的に動きます。何日もシャンプーしていないような異臭を放つ頭が目の前に立っていると、蹴飛ばしてやりたくなります。電車の中でも同様です。隣りに座っている人の肘や足が触れていても、文句を言う人は一人もいません。仮にその人が貧乏ゆすりを始めたとしても、誰も何も言いません。全然気にしていないようです。貧乏ゆすりで思い出しましたが、テーブルをトントンわけもなく叩いたり、ペットボトルを指で押してペコペコ音を鳴らしたりして、静寂を破るのもお得意です。エレベーターの上下ボタンや、閉まるボタンは、たいてい3回以上は連打します。


初対面の人とであっても、相手との距離がとても近いです。なんというか、擦り寄られる感覚があって、実に気持ちが悪いものです。親愛の情を示すために、腕を組んできたり、指を絡めてきたりする人もあります。これは大抵同性同士ですが、私は嫌でたまりません。でも相手の親愛の情を無碍にするわけにはいかないので、がまんします。


こんなに近くにいるのだから、小声でも話は聞こえるのに、馬鹿でかい声で話をします。日本人同士なら5メートル以上離れたところにいる人との会話の音量で、隣りの人と話します。耳が壊れそうになります。エレベーターの中でこれをやられると、逃げ出したくなります。


彼らの距離感と声の大きさは謎だらけです。なぜこんなに密着するのか、なぜむやみにデカイ声を出すのか。本当に理由がわかりません。随分長いことこの国に住んでいますが、こればかりは解決しない謎です。