ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

農薬入りオレンジジュース

「yueyaさん、そのジュース、農薬がいっぱいだって言うよ。飲んじゃダメ!」
と部下に言われ、ギョッとなりました。


とある外資系メーカーのオレンジジュースなのですが、一部市民の間ではもう有名な話らしく、言われてみれば最近誰も飲んでいません。


「でも、中国のもので農薬使ってないものなんて、存在するの?」
と部下に突っ込みを入れたら、
「それもそうだ!」
と笑っていました。


どこの国にも同じような風評被害というのは存在するものでしょうけれど、中国の人たちの噂話は、たちどころに広まります。メディアによる情報がお上にコントロールされているため、人から人へ伝わる情報の方がまことしやかに広まっていくのです。日本の報道もひどいですが、中国のクチコミも恐ろしいものがあります。


ちょっと余談ですが、SARSが流行った時、韓国人は何やら呪いめいた方向へ驀進していきました。部屋で線香を焚くとSARSが予防できるという噂が広まり、最初に飛びついたのは韓国人でした。日本人の私達は、韓国人というのはもっと科学的な見地から事の成り行きを見ているのかと思っていたので、とても驚きました。そういえば、SARSの深刻な感染状況が報道されてイの一番に帰国したのも韓国人でした。危機管理意識が高いのか、と思ったのですが、どうもそうではなく、情報を鵜呑みにする傾向が強いようです。


例えば、今日のオレンジジュースの一件といい、SARSの時といい、日本人って、割と冷静で、肝が据わっている人が多いですね。これはもしかすると、あふれるような情報の中で生活しているせいかもしれません。日本のマスコミは確かに偏った報道に走ることもありますし、大きなものに巻かれる傾向もありますが、同時にその危うさを指摘する別のメディアも存在していて、日本人全員がマスコミの号令通りに右向け右になってしまうわけではないですよね。情報を見比べ、何が正しいのか、という選択ができる人も大勢いるわけです。


中国人は、その点、非常に面白い傾向が見られます。韓国人のように、メディアや噂の中の情報にすぐに飛びつくことはありませんし、日本人のように大量の情報から真価を見比べることもありません。すべての情報を、まずは「嘘に決まってる」という目で見ようとします。情報に対してこんなに疑り深い人たちも珍しいというほど、ほとんどのことを信じません。そして、最終的に生き残る情報は、たいてい、「面白いネタかどうか」という部分のような気がします。思わず人に言いふらしたくなるような情報だと、どんどん伝わっていくんですね。更に、その根底にあるのが、ある種の「正義感」のようにも思われます。三国史の時代から、周囲は敵だらけだが、命運を共にできる同志には兄弟のような絆が生まれる国です。だからこそ、正義だけが人々の拠り所となる共通項なのでしょう。


私が飲んでいたオレンジジュースは確かに体に悪そうでしたから、彼らの正義感が「農薬疑惑」を生んだのでしょうし、それを私に教えてくれた部下は、私を兄弟と看做してくれたのかもしれません。ありがとね。でも、全部飲んじゃったよ。