ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

時間管理

今日、部下に突然、こんなことを質問されました。


「日本人は、残業が好きですよね? 毎日遅くまで残業して、体を壊して、過労死する人もいますよね? なぜそこまで働くんですか? どうして体を大事にしないんですか?」


返答に窮しました。


日本人だって残業が好きなわけではないと思うんです。皆さん、どうですか? 付き合い残業だの、サービス残業だのは、この際ちょっと棚にあげておきますが、基本的に残業って、定時で終わらないからやるものであって、好きでやっているわけではないと思うんです。もっとも中には、残業手当めあてに、だらだらと働く人もいますが…。


そこで登場する言葉ですが、「責任」。自分がやるべきことを全うする責任感が、残業の最大の動機なのではないか、と私は彼女に答えました。


すると、待ってましたとばかりに彼女はこう続けました。


「それは親の教育ですか? 責任感を果たすために体を壊し、死んでしまったら、家族はどうなるんですか? それが本当の責任ですか?」


むむむ…。もうこうなると、私個人の考えで説明することは不可能で、


「いや、誰も、死ぬと思って働いているわけじゃないからね」


としか答えられませんでした。



中国人は、生理的欲求を何よりも優先する人たちのように思います。
おなかが空けば、いつ何時いかなる場所でも、人目をはばからず物を食べるし、トイレなんぞは絶対に我慢しない。この場面で不謹慎だろうと思って、日本人は結構トイレを我慢したりしますが、絶対にありえないことです。入学試験の最中くらいでしょうかね、中国人がトイレに行かないのは。


仕事中でも、疲れれば寝るし、「疲れたから」というのが何かを中断する立派な理由になります。


私達の仕事は日本人を顧客に持つ仕事なので、あまり中国式のやり方でやっていると信用を失いかねませんから、中国人社員に対しても、ある程度日本のやり方を強要している部分があります。あるとき、一人の部下に仕事を任せたら、ものすごく中途半端な完成度のものを提出してきました。


「なぜこんなことになっちゃったの?」
「毎晩残業で疲れました」
「疲れても、やらなきゃいけないの、わかる?」
「これ以上働いたら死んじゃいますよ」


この発想は、単に中国人が怠惰だからという理由から生まれているものではないと思います。第一に、医療が遅れているため、ちょっとした不調の連続が死を招く環境にいるということが挙げられるでしょう。日本は保険制度が比較的しっかりしていて、救急医療体制も、問題は多いものの、中国とは比較にならないほど進んでいます。


ウチの会社の専門職社員は、大卒初任給で2500元が最高額ですが、ちょっと検査でレントゲンでも撮って、点滴を打ってもらって、薬を出してもらったり、通院したりすると、ひと月分の給料が医療費に消えて行きます。疲れを溜めることは、即、生きることに直結しているのです。


最近忙しいので、部下達も不安そうです。ただやみくもに、我慢して働け、命がけで働け、というのではとても解決できる問題ではありません。私が最も苦手とすることですが、「時間管理」という概念を教育していく必要があるように感じています。人には一日24時間という平等な時間が与えられていて、その中で、やるべきことを全うし、休息し、そして余暇を持つ、という計画的な時間配分をどうやったら教えられるのか? それにはまず、私自身が自分の時間管理を見直さなければならないと身をひきしめました。