ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

自分のことは自分でする

私は以前、中国語の学校に通ったことがあるんですが、当時使った聴き取りの授業の教材の中に、母親が子供に「自己的事情,自己做!=自分のことは自分でしなさい!」と教える場面がありました。子供は母親の言う事を真剣に聞いて、「自分でするよ」と約束します。


とっころが、実際中国の子供達は、自分のことすら自分で出来ない子がとても多いのです。幼児教育の段階から、その原因がはっきり見て取れます。日本の幼児教育は、各年齢の発達段階に合わせて、多くのことを体験させ、まずは身の回りのことから自分でできるように教えているようですが、中国の幼稚園は、全く違います。子供に何もさせずに、教師がすべて手助けしてしまうのです。


例えば、靴を履いて外に出るという動作の時、日本の幼稚園では、多少時間がかかっても、自分で靴を履きみんなといっしょに外に出ますね。ところが、中国では、靴は教師が履かせ、みんな勝手に外に出て行きます。「歩きたくない」と駄々をこねる子供がいれば、教師が抱っこしてあげます。


お遊戯会などでも、日本は園児と教師がいっしょに小道具を作り、保護者は牛乳パックだとか古新聞だとかを供出して、ひとつの会を作り上げていきますが、中国の場合は、親も子も裏方仕事には全くノータッチです。「高い保育料を払っているんだから、園がやるのは当たり前!」という論理なのです。


子供がかすり傷程度でも怪我をして帰ってくると、中国の保護者はエライ剣幕で園にクレームをつけたり、熱でも出ようものなら、「訴訟を起こすぞ」位の構えなのだそうですよ。


家庭では、孫に甘々のおじいちゃんおばあちゃんが、子供の面倒を見ているので、親は子供が悪さをしようと、どんなわがままを言おうと、全く関知しません。乗り物に乗ると、子供達が座席を独占し、年寄りが立っていたりします。


そんな風に育てられた80年代90年代生まれの若者たちが、すでに社会人として働き始めていますが、んもう、彼らは、ほんっとに、何にもできないんです。イイ学校は出ているので、ウンチクは垂れますが、自分でやったことがないので、仕事の指示を出してもトンチンカンなことを平気でやらかしてくれます。あるレストランの店長が、「お茶のポットを冷蔵庫に入れて冷やしておいてくれ」と従業員に頼んだら、空っぽのポットを全部冷蔵庫に入れてあったそうです。万事そんな調子。やったことがないから、意味が分からないのですね。店長が叱ると、「指示の出し方が悪い」と逆ギレされたそうです。あ〜ぁ、ですね。


幸いにして、私の部下には、空のポットを冷蔵庫にしまうような輩はおりませんが、近い将来、自分のことが自分で出来ないような若者が入社してくるでしょう。どうなっちゃうんでしょうね。短気な私も、人間が大きくなるかもしれません。