ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

老冰棍

日本も中国も、アイスクリームなんぞが無かった時代、アイスキャンディー売りのおじさんが自転車かなにかにアイスキャンディーを詰めた箱を載せて、売りに歩いていましたね。私はほとんど記憶がないのですが、中国にいるといまだにそういう売り子さんを見かけることがあります。都市部にはもちろん出没しませんが、本当のド田舎へ行くと、まだあるようです。


さて、そういう中国のアイスキャンディは、オレンジだとかイチゴだとかチョコレートだのの味は一切なく、例えて言うなら、カルピスの薄い味で白濁した氷菓子と相場が決まっていました。それを「老冰棍」と言うんですが、ご年配の方々にとっては、「アイスといえば老冰棍」というくらい、これがアイスキャンディの代名詞だったわけです。昨今は、各社さまざまなアイスキャンディやアイスクリームを発売し、毎年夏になると、その年のヒット商品が流行して、街を歩きながら食べる若者の姿が目立つようになりました。日本ではアイスクリームの売り上げは、減少傾向にあるようですが、中国は今、爆発的なアイスクリームブームなのです。


今年は、雀巢(ネスレ)から出ている「笨NANA」という棒アイスが大ヒット。一見すると本物のバナナかと見間違うようなアイスで、皮の部分がゼリーで出来ていて、ちゃんと手で剥けるようになっているんです。なかは白いアイスなのですが、なぜか味はバナナ味ではなくリンゴ味というところが、また面白い!


こんな風に、いろんな会社からいろんなアイスが研究され続々と発売されているので、昔懐かしいアイスキャンディ売りのおじさんなどは、都会では姿を消しています。でも、この味が恋しい人というのはいるもので、そこに目をつけた各アイスクリーム会社が、「正宗・老冰棍」と銘打った袋入りの棒アイスを発売しています。正宗とは「本物」という意味。つまり、あの懐かしい味そのままですよ、という意味なのだと思います。元々は北京が発祥のようですが、今や全国規模で売られていて、特にご年配者に売れているとか。値段は、なんと、1元の半分の5角。日本円にして7円くらいの感覚です。中国でも5角というのは、もう道端に落ちていてもあまり拾う人がいないくらいの小銭ですから、このアイスキャンディがいかに安くて庶民の味方か、値段からもよく分かります。包装と棒だけでも5角くらいじゃないの? と思ってしまう私は、もうすっかり中国の物価高騰に毒されていますね。この国はまだまだ底なしに、安くて旨いものがあるんですよ。