ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

都会の金持ちの理論

私が住んでいるところは、中国でも比較的経済発展の進んでいる街なのですが、大都市に比べると、今ひとつ人々の意識に未成熟さが感じられます。これを、「面白い」と受け取れれば、ここでの生活は非常に楽しいのですが、私も生身の人間。虫の居所の悪いときは、彼らの未成熟ぶりにキレることもしばしばです。


私はある外資系高級国際ホテルのスポーツジムの会員で、週に4日程度、通っています。「高い会費を払えば、トレーニングに強制力が伴うだろう」という発想で、かなり無理をして会員になりました。


確かにこのジムは、設備もサービスも行き届いていて、「グレイト!」なジムなのですが、利用者のマナーの悪さには正直うんざりしています。


男性用の更衣室については分かりませんが、女性って、古今東西、更衣室を汚く使うんですよね。これは日本人も同じなんですが、さすがに日本人女性は高級店での公衆道徳はきちんとしています。ところが、中国人って、そうじゃないんです。以下、その傍若無人な振る舞いを、張り切って、ぶちまけておきましょう。


其の一:洗面台で前髪をカットし、切った髪を放置。
其の二:シャワーサンダル、脱ぎっぱなしで放置。
其の三:1つしかないベンチを、一人で占領。
其の四:素っ裸で長時間更衣室に居座り、携帯メールに余念が無い。
其の五:素っ裸の己の姿を鏡に映し、うっとりと見惚れ続ける。
其の六:ロッカーを開けっ放しにするので、隣りのロッカーが開けられない。
其の七:バスタオルやバスローブをランドリーボックスに片付けない。
其の八:私物を置きっぱなしにして帰る(禁止事項なのに)。
其の九:トレーニングマシンを壊す! でも知らんフリ。
其の十:プールでふざけあい、他人の遊泳の進路妨害をする。
其の十一:プールで居眠りをする。(温泉じゃねーぞ、コラ!)
其の十二:スタッフに注意されても聞かない。


書き出したら、まだまだたっくさんありますが、この辺でカンベンしておいてやろう。ほんに腹の立つ輩が多く、幼稚園からやり直しという感じです。


私は以前、中国国内旅行で二等寝台車に乗ったことがありました。三段ベッドで、エアコンもないような、ひどい列車でした。当然、乗客のほとんどが中国の田舎の庶民の方々で、私が乗った車両には、親子三代、ジジババ、パパママ、そして子供達というような面々が乗っていました。みんな肥料や飼料用のでっかい麻袋に荷物をパンパンに詰め込んで、口を紐で結わえて天秤棒に通し、旅行カバン代わりに使っていて、それを三つも四つも車内に持ち込んでいます。言葉も訛りが激しく、明らかに農村の人たちです。


「うわ、すごいな、コリャ」と尻込みしたほどなのですが、これが意外なことにマナーがあるんです。子供達を早々に寝かしつけ、大人はデッキで静かにお茶を飲みながら車窓の景色を眺めていたり、早朝から起き出した人々も、周囲の人に迷惑が掛からないように配慮しながら身支度を整えたりして、とても好感が持てました。


実は、これが中国人の典型的な姿なのです。都会の金持ちは態度が横柄で、田舎の貧乏生活者の方がずっとつつましいのです。


高級店を利用すると非常に不快な思いをするのは、彼らが「高い金払ってんだから、このくらい当然の権利だ!」と傍若無人に振舞うせいなのだと私は思います。金持ちはエライ、という古い価値観がまだまだ残っていて、実にせこいのです。


ところが、上海あたりに行くと、いわゆる「都会人のスマートさ」というのが大分根付いていて、それなりに暗黙のルールが出来上がっていたり、公衆道徳の概念が定着してきているらしく、他の地方都市とはまた違った趣きがあるのだそうですが、私が住んでいる街は、一歩も二歩も遅れをとっているのがよく分かります。


日本はどうでしょうか。やはり地域によって、あるいは個人個人によって、差はあると思いますが、中国と比べれば、ずっと成熟しているのではないでしょうか。


経済発展こそがすべて、という価値観で猪突猛進している中国も、そろそろ次の段階に移行するべき時期が来ているように思います。広大な国土を持ち、13億とも実際は16億とも言われている人口を抱える大国ですから、そう易々とは変わらないとは思いますが、「新しい環境への適応力」という点では、保守的な日本人をはるかにしのぐ民族です。あと10年、いや早ければ、5年で、何らかの変化が見られるのではないか、と期待して止まない私なのでした。とりあえず、ジムだけでも、よろしくね、中国人の皆さん!