ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

なんにでも書いちゃう人たち

ぐぉほん、ぐぉほん…(*>艸<)=3 久々に発熱&咳・鼻水のフルコース。発熱3日目に「これインフルエンザじゃないかな」と思ったのですが、結局病院にはかからずじまい。タミフルさんも、すぐに服用しないと意味無いと聞いているし、それほど体力を奪われていなかったので、ずっと部屋で寝ていました。タバコなんか吸うものだから、なかなか咳が抜けず、「まだ長引いてるのぉ〜?」とみんなから呆れられています。はい、すみません。


ところで、中国の人たちのいろんな話をここに書いていたら、いつかネタ切れになって、書き続けられなくなるんじゃないか、と当初は心配していたのですが、そんな甘い国じゃなかったようで、毎日のように、「あ、これブログに書こう」と思うネタが降って沸いてきます。


今日のお題は「なんにでも書いちゃう人たち」。


こちらの人たちは、およそ「手帳」とか「メモ用紙」なるものを持ち歩いたり、机の引き出しにしまっておいたりという習慣が根付いていません。だけど、何か忘れちゃいけない大事なことが発生すると、当然何かに書いておこうとはするらしく、いろんなところにいろんなメモ書きがあります。まずは、壁です。もちろん自分の家の壁には書きません。公共の場の壁だと、通常、メモ用紙代わりに使われます。たとえば、こんな場面…
「あ、○○ちゃんの携帯番号、知ってる?」
「知らない、教えて」
「言うよ、138○×○×○×○×」
「うんうん(と言いながら、近くの壁に書いている)」


携帯には「短信」と呼ばれるショートメール機能があるのですから、メールで送れよ、と思うのですが、どうもそういう面倒なことは嫌いな人たちらしいのです。


それから、次によくあるのは、お札(おふだ、ではなく、おさつ)がメモ用紙代わりに使われるケース。こちらは、こんな場面で使われます…
「これで全額集金できたの?」
「いえ、まだ○○貿易さんからいただいていないんで…」
「いくら?」
「3万元ですね」
「え〜と、○○貿易、3万元、と(と言いながら、札に金額を書いている)」


そのほか、なんでもそこにあるものに書く例として、私の昔の同僚の話を。ヤツは、タバコの箱にメモをする習慣があります。打ち合わせ中にいきなり懐からタバコを取り出し、大事なことをみんなタバコの箱にメモするんです。タバコを吸い終わったら、間違って捨てちゃうんじゃないか、と心配したら、
「一日に何回も読み返すから、捨てる頃には覚えてる」というのが言い分。でも、コイツは約束を守ったことが無いというけしからんヤツでした。


先だって、印刷屋さんにある小冊子の印刷をお願いしました。「昨年はこんな風に印刷したので、今年も同じ紙で同じサイズでお願いします」と言ったら、「去年のを見本に貸してもらえませんか」と言われました。絶対に返してよね、と念を押して貸してあげたのですが、それが今日返却されて超びっくり! 表紙に馬鹿でかい文字で、「昨年制作のサンプル ○○有限公司に要返却」と書かれていました。借りたもんに書くか、普通?!


たぶん…、たぶんですが。中国の一般庶民にとって、紙ってつい最近までものすごく貴重なものだったのだと思います。良い例として、都会育ちの若者達は比較的紙を無駄遣いする傾向にあって、田舎育ち(いわゆる農村出身)の若者は今もって、紙以外のものにメモする習慣があるんです。つまり、暮らしが豊かになって、かわいいノートだとかきれいな手帳だとか、そんなものが手軽に手に入る都会の子達は、紙に何かを書くということが習慣づいていて、ちょっとした覚え書きに「紙」を使うことに何の抵抗感も無いけれど、農村の子はちょっとした覚え書きに「紙」を使うなんて贅沢だという意識あるいは習慣が抜けないのだろうと思うのです。


私の部下で一人農村出身の子がいます。彼はいつもボロボロのノートを持っていて、そこにびっしり小さな字を書きます。違う内容のことを書く場合、私たちは無意識にページを変えたり、大きく行をあけて書いたりするものですが、彼はどんな内容のことでも、続けて書くんです。


「こんなにびっしり書いて、あとで読み返したときに、何のことだっけ、って思わない?」
と聞いたら、
「書けば大抵のことは頭に入りますから、あとで読み返すことってほとんど無いですね」
とのこと。どっかで聞いたセリフだな、と思ったのですが、案の定、彼に頼んだ仕事は、後で催促しないとなかなか上がってきません。


仕事中にメモを取る、という習慣は、「人との約束」を守るためにするものであって、その習慣が根付いていない人々とはあまり大事な約束はできないなぁ、と思います。本当に本当に大事なことは、「契約書」という名前の書類として取り交わされますが、この国では「契約書」すら「約束を意味するものではない」ということが往々にしてあるので、ほとんど意味を成しません。じゃあ、本当に本当に本当に大事な約束はどうしたら守られるのか、ですが、「約束にカネを絡める」という手段に出ることです。これは日本人がもっとも苦手とすること。中国でお仕事の話をするのは、とっても大変なことなのです。