ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

大陸から見たニホン

今回の地震が発生し、たくさんの中国人から見舞いの言葉をかけられた。
地震の翌日、若い中国人の男性から、
「日本の半分が壊滅的だそうですが、お国は大丈夫ですか?」
と尋ねられた。


「日本の半分なんて、大げさな」
と私は思った。
あの時点では、東北の太平洋岸地域だけが地震津波による被害を受けただけで、
日本の国土の数十分の一くらいの被害だと思っていたからだ。


ところが、原発の問題が浮上し、日々刻々とその深刻さが明るみに出るにつれ、
「日本の半分」という表現が、今更ながら、重みを持った言葉として
感じられるようになってきた。


大陸に住んでいると、日本が本当に小さな島国であることを実感する。
私も日本にいた頃は、「中国大陸の大きさ:日本の大きさ」という比率の概念は、
「本州:九州」くらいの感覚でいた。
でも、実際にこちらに来てみて分かったのは、
「本州:小豆島」くらいの感覚なのだ。


豆粒のような大きさの国にある原子力発電所が壊滅的な打撃を受け、
今なお、事態の収束に全力をあげている、
という状態が報じられると、
「あの豆粒、もう終わりだな」
と大陸の人間は思うだろう。
農産物などの風評被害が進んでいる背景には、
こういったスケール感の違いも手伝っているはずだ。
豆粒みたいな国なら、きっと国中、放射線だらけだ、
と想像するほうが、分かりやすいからだ。


それに、国境という概念が、日本人とは違う国の人々は、
他国の影響をとても気にする。
世界は広い。ことにユーラシア大陸は、広大な面積を持ち、
国境という概念が、日本人の持つ概念とは決定的に違う。
地球は地続きである、と思っている人々と、
国は海で仕切られている、と思っている人々とでは、
当然、放射性物質の拡散に対する不安感は、
天と地ほど違うだろう。
放射線物質は、必ず、自分の国にもやってくる、
と思うのだ。
すべての国は土と海とでつながっているから。


大陸から黄砂が飛んできた、
と日本のマスコミが報じる。
化学汚染物質を含んだ、人体に有害な黄砂であると、
誰かが言う。
とたんに中国に対して目くじらを立てる人も出てくる。


放射性物質が海に流出。
空気中に拡散した放射性物質が風や雲によって、
海を越える。
そのことに不安を抱かない外国人がいたら、
私はぜひお会いしたい。
これから大規模爆発が起こらないとも限らない、
と多くの人が思っている。
いつ終息するのか分からない事故に、
明るい展望など持てるわけがない。


これだけ世界中が注目する問題に発展しているのは、
日本が豆粒のような国家であるにも係わらず、
日本という国の影響力が世界に対して非常に大きいからだろう。
「極東の豆粒のような島国で、原発が事故ったってさ」
「ふう〜ん。でもチッチャイ国なんだろ? たいしたことないさ」
と言われるような国だったら、良かったのにね、ニッポン。
豆粒のくせに、世界でトップクラスの技術力を持ち、
影響力を持っているからこそ、
これだけ騒がれているんだ。


私の部下が、こんなことを言った。
「僕は日本を信じていますよ。あらゆる技術において、
他の諸外国の追随を許さない高いレベルを持っていて、
原発問題ごときを解決できないわけがない」


私はこれを聞いて、いたたまれない気持ちになった。
戦争で原爆を落とされ、唯一の被爆国として平和を訴えてきたはずの日本が…、
そして、世界一の技術力で海外に進出を果たしてきたはずの日本が…、
よりによって原子力発電の問題で、
よりによって技術力の問われる問題で、
こんなに世界に心配と不安を与えているのが、
本当に、本当に、いたたまれない。


政府は、もう日本を見捨てているのか?
政治家は、どこで生きていくつもりなのか?
このバカどもを見捨てて、国民一人ひとりが立ち上がり、
新しい日本を作るというムーブメントが起きることに期待している。


日本のみなさん、本当にごめんなさい。
私、中国にいて、何も動けない。
こんなことをブログに書くことしか、できない。