ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

捨てる神あれば、拾う神あり

私事で、いろいろなことがあり、心身ともに疲労困憊。気がついたら、前回のブログからすでに2ヶ月以上経過していました。この2ヶ月で、実感したのは、捨てる神あれば、拾う神あり、ということでしょうか?


実は、会社を辞めました。理由は、「疲れたから」。もうこれ以上は働けない、という限界を見てしまったのです。しかし、結果に対する会社からの評価は何も無く、逆にそれ以上の力を求められたとき、「無理です!」という答えしか出せませんでした。人は、何を支えに「労働」するのでしょうか? 何のために働いているのでしょうか? 仕事とはなんだろうか? ということを、自問自答した結論が、退職でした。自分で出した結論でしたが、外国で職を失うというのは、本当に心細いものです。とりあえず、お金に余裕があったので、どうにかなるだろうと辞表を出してきましたが、会社のビルを一歩出たときの、あの何ともいえない不安感ったら無かったです。


会社を辞めて、しこたま寝て、よく食べ、遊び呆けておりましたが、「このままじゃ、廃人だ!」と我に返り、この数日、就職活動をしておりました。で、今日、新しい職場から内定の連絡を受けました。あとは、給与等の条件交渉だけ。不安感も消え、どうにか精神の安定を得たところです。


今度もまた、そこそこ忙しい会社ですが、とりあえずこれまでのような「限界に挑戦!」みたいなことにならないよう、うまくやっていくつもりです。


捨てる神あれば、拾う神あり。日本の就職難に比べたら、こちらはまだまだ日本人の活躍できるフィールドが残されていると実感。日本で職にありつけず、困っていらっしゃる中国語人材の日本人のみなさんも、中国で働いてみませんか、とお勧めしたい気持ちです。


さて、今日の事ですが、「捨てる神あれば、拾う神あり」な出来事がありました。


マンション1階のエレベーターホールに置かれている吸殻入れから、白煙が上がっていてくすぶった臭いが当たり一面に立ち込めていました。吸殻入れの下がゴミ箱になっていて、そこに誰かがタバコの灰を落とし、火玉が落ちたのでしょう。確実に何かが燃え始めています。


ちょうどそこに来合わせた、中国人の若い男女(たぶんご夫婦)が、
「まずいな、これ。このままじゃ、火事になる」
とゴミ箱を覗き込みます。


「水持ってないですか?」
「いや、持ってないです」
「このフロアに水道は?」
「う〜ん、ないですよね?」


すると、男性の方が、ゴミ箱に手をつっこんで、火元になっているゴミをあさり始めました。


「気をつけて! やけどする!」
と私が声をかけましたが、彼はものすごい正義感で、とうとう火元になっているゴミをつきとめました。丸まったコピー用紙に、火がついていて、焼け焦げていました。彼はそれをマンションの外まで持って行き、足で踏みつけ、火を消しました。女性の方が、今度は、もうこれ以上燃えるものが入っていないか、ゴミ箱に頭をつっこんで見ています。


二人は、安全を確認したあと、黙ってエレベーターに乗り、黙って降りていきました。


中国人の喫煙マナーは、ひどいものです。「禁煙」と書かれていても、注意する人がいなければ、喫煙OKというのが、常識です。エレベーター内でも、平気でタバコを吸います。最近でこそ無くなりましたが、飛行機内での禁煙が導入された当初も、飛行機の最後尾の座席は喫煙席と称されていたほどです。また、吸殻はどこに捨てても、誰も文句を言いません。


ところが、都市化が進み、美しい建物が林立するようになってきて、タバコを吸いにくい環境が街のあちこちに出現しました。ブランドショップの入ったファッションビルや、一泊千数千元もするような高級ホテル、真っ白な内装のほどこされた近代的インテリアのレストランなど、これまでの中国人には縁のなかった「西洋風のビル」の出現によって、マナーを守らないと利用しにくいという意識が生まれたのです。


今日、消火活動をしてくれたカップルは、比較的暮らし向きの良い、マナーのあるカップルだったのだと思います。あれこれ文句を言ったりせずに、黙って火を消した姿が忘れられません。こんな中国人が増えていったら、日本人なんてあっという間に蚊帳の外かもしれませんね。冷静沈着、大胆な行動、強い正義感と実行力、そして小さなことにこだわらずに泰然自若としていて、そして、頭がすこぶる良い。中国人って、計り知れない底力を持っているような気がします。