ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

シルクロードと平山郁夫氏

日本画家の平山郁夫氏が亡くなった。79歳だった。


中国の文化や歴史、遺跡や街並みに興味関心を持ち、中国語を勉強したり、旅行したりする多くの日本人にとって、平山氏の描いた作品は、きっと思い入れの強いものであるはずだ。私などは、彼の作品を通じて、シルクロードを見ている向きがある。いや、もっというなら、私にとってのシルクロードは、平山氏の作品そのものなのかもしれない。そしておそらく、そういう見方をしている人は、私だけではないだろう。


平山氏とシルクロードの関係は、40年以上も続いていた。一度や二度訪れて描いた画家の作品とは、まったく違う。魂が違う。彼のシルクロードの作品と向き合うと、私はとても感傷的な気持ちになる。時の流れ、慈愛、静謐、孤高、悲哀、無常、思慕、宇宙、神仏……など、私が彼の絵から感じる印象は、深くて広い。無限と言ってもいい。己の小ささを感じずにはいられなくなる。胸の奥から切ない感情が湧きあがってきて、涙が出そうになる。


もう彼の作品が増えていくことはないけれど、彼の残してくれた数々の作品は、「それもまた人としてあるべき道なのだ」ということを教えてくれる。


平山氏に感謝と哀悼の意を。合掌。