ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

なにが邪魔をするのか

例の若い駐在員さん。


「やっぱり、来年の春までは、中国語教室に行くのはやめました」
と言う。


「なんでまた、急に?」


仕事の区切りとして、来年の春を一つの目安にがんばっているので、今、中国語なんか始めたら、仕事に100%没頭できないからやめたと言うのだ。


「それはそれは、仕事熱心でいいですね」
ととりあえず、口先だけで同調したものの、私の表情と語気がそう言ってなかったらしい。


「なんか感心しないみたいですね」
とさすがはエリートセールスマン。こちらの気持ちはよく見抜く。


「やりたい、という強い思いじゃなくて、やらなきゃという気持ちが強いんでしょ?」
と言うと、
「いや、やりたいんですよ。でも、上司の評価とかも気にしてますし、自分自身が仕事で後悔したくないんで……」
と、ぐずぐず。


「つまり、時間が惜しい、と、そういうことですか?」
「そうです、そうです。そういうことなんです」


捉え方はいろいろあると思う。
それは、やっぱり、本気でやりたいと思ってないんだよ、
という解釈もできるし、
今は、すべてのことを忘れて、仕事だけに集中するべきだということなんだね、
という解釈もできる。


彼はどっちなのだろう、と考えても、付き合いが浅いので、よく分からない。


「Tさん、もし私が中国語スクールの営業担当者だったら、“この客は、深追いするに値しない客。少し時間をおくべし”ということで、よろしいでしょうか?」
とたずねると、
「はい、それが正解だと思います」
と彼。要は、ちゃんとやりたいんだけど、やれる自信がなくて迷っている、
というのが正解なんだろう。


中国に来た日本人駐在員さんたちが、中国語の学校や家庭教師などで勉強をスタートする時期には、二つのパターンがあるという。一つは、赴任早々、早速勉強をスタートする場合。もう一つは、春夏秋冬を一回り経験して、少し余裕が出た頃に、「そろそろやらなきゃな。ちょっと出遅れたな。もう一年も経っちゃったよ」という場合。


彼は、気持ち的には、すぐに始めたかったのだろうが、結局、一年経っちゃう人なのかもしれない。ちょっと分かるな、その辺の感覚。私もきっと後者だろうから。