ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

垃圾道

中国で暮らしていたとき、
とある繁華街にボロボロの雑居ビルがありました。
ボロボロといっても、築年数は5年にも満たないような新しいマンションなのですが、
なぜボロボロになったか、というと、入居者審査をしなかったからなのです。


マンションも雑居になってしまうと、
一人ひとりが勝手な使い方をするようになるみたいで、
飲食店あり、スナックあり、風俗あり、
個人のマンションの一室になっていたり、
事務所になっていたり、
極端なところだと、八百屋を開いている部屋もあるんです。
そうなると、もうめちゃめちゃ。
荒れ放題に荒れて、化けもの屋敷と化していくわけです。


迷惑なのは、もともとの使用目的だったマンションとして入居している人。
夜中にカラオケの音が大音量で聞こえてきたり、
ケンカに巻き込まれたり、
あるときは、火災(ボヤ)の巻き添えを食ったり、
まったくもってひどいマンションでした。


このマンションを取り囲む公道を、
私たち日本人は、「垃圾道」(la1ji1dao4ラージーダオ)と呼んでいました。
垃圾とは、中国語でごみのこと。
マンション周辺も無法地帯で、
ごみの不法投棄が後を絶たず、
マンション住民からも、近隣住民からも、
そうとう苦情が出ているようでしたが、
片づけても片づけても、あとからあとからごみの山が発生し、
慢性的に、道をごみが占拠している状態でした。
夏場の臭いことといったら、ありませんでした。


不動産投資に主婦までもが乗り出していた不動産バブルの頃の遺産です。
今となっては、建て替えることもできず、
かといって、今更、イメージを一新するような改革も断行できず、
市中心街に汚点のようにそびえる高層マンションは、
おそらく今日も異臭を放ちながら、そこに存在しているでしょう。


日本には、あまりこういう物件はありませんね。
やはり管理がしっかりしているのと、
暮らす人一人ひとりの意識が、
中国人のそれとは正反対だからなのでしょうね。
日本も雑居ビルというと、ちょっといかがわしい危険な香りがしますが、
さすがに酸っぱい腐敗臭は、漂っていませんものね。
――腐敗臭がしたら、死体だろうな(苦笑)。