ひだまりの居場所

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貧しい中国

川に豚の死骸1200匹超=伝染病感染で投棄か―上海の水源
時事通信 3月11日(月)17時31分配信

 【上海時事】中国・上海市当局は11日、市中心部を流れる黄浦江の上流で8日以降、1200匹以上の豚の死骸を発見・回収するとともに、一部が豚の伝染病である「豚サーコウイルス2型」に感染していたと発表した。回収作業は継続中としており、さらに増える可能性がある。水道水の水源にもなっているため、市民からは不安の声が上がっているが、当局は「人にはうつらず、現段階で水質への影響もない」としている。
 一方、11日付の上海紙・新聞晩報が地元・松江区当局者の話として伝えたところによると、豚の耳に付けられた目印から、上海に隣接する浙江省嘉興市の複数の農家が捨てたとみられている。同市には小規模の養豚農家が多く、これまでも豚の死骸を川に投棄。ここ1、2年も年間200匹前後が上海に流れ着いていたという。 

ネット上の日本人の書き込みを見ると、鬼の首をとったかのような一方的意見が大多数ですね。中国擁護をするわけではありませんが、ちょっと行き過ぎだってば。極端に走ると危ないぞ。


さて、養豚場や養鶏場で、病気が蔓延するのは、中国ではよくあることです。日本のように豊かな国ではないので、豚や鶏の病気を防いだりする薬や衛生設備が行き届いていないからです。また、飼料も食肉を前提としたものを使えるのはごくわずかですから、たいていが人間の残飯が回されていきます。私も子供の頃、近所の川で遊んでいたのですが、ある日学校から、「川で泳いだり水遊びをしてはいけません」と指導が入り、上流の養豚場の問題を知りました。もうかれこれ40年近く前のことです。


しかし、日本の40年前の養豚場よりも、中国の小規模な養豚場は経済的に貧しいという印象を受けます。病気にかかった豚を処分するのに、どれだけの費用がかかるかは、私には知識がありませんが、育てていた豚が病気になっただけで大きな負債を抱えなければならない状況で、死んだ豚や死ぬ運命にある豚に金をかける余裕は、ゼロに等しいでしょう。


ここにも中国の格差社会の問題が見えてきます。地方で暴動を起こしている中国の人々は、何も民族問題や人権問題だけに憤っている人たちばかりではありません。農村で畑を耕している人たちや、こうやって動物を育て出荷している人たちも含まれているんです。身を粉にして働いても、少しも生活が楽にならず、むしろ物価ばかり上がっていって、困窮しているんです。大昔と違って、田舎でも情報は入りやすくなっていますし、社会主義思想の影響で、他人と自分がどれだけ差があるかということをひどく気にする人たちなので、自分達の暮らしが貧しいということを目の当たりにして、やり場のない怒りを抱いているんです。しかし、国や地方政府に対して振り上げた拳を下ろすことは「社会的死」を意味します。それで、庶民が互いに傷つけあうような行為に及んだり(放火や窃盗など)、反日運動に扇動されて爆発してしまっているのが現状なのです。


今回の事件も、政府はかなり深刻な問題として受け止めているでしょう。政府は毎日毎日、社会のほころびを繕って繕って、きりがない仕事に追い回されているはずです。


今、政府のお役人さん達はとてもナーバスになっています。これまでは、高級レストランを借り切って、税金をつかって飲み食いし、派手な時計や貴金属を身につけ、プライベートでも高級車を乗り回していましたが、最近は、「ウソでしょ?!」というくらい慎んでいます。中程度の中華バイキングで安いものを食べ、酒類は一切口にしない接待が当たり前になっていて、腕時計も実に質素、車に乗ることさえ控えているような状況だと聞きました。もちろんこれは、あくまで「格差問題」を表に出さないための作戦でしかないのですが、これほど徹底されているのは、お役人さん自身が身の危険を感じているからでしょう。いくら中央が命令しても、汚職や接待が無くならなかったこの国で、にわかにこういう現象が顕著になっているのは、生命としての「死」を考えてしまうからなのだと思います。


私はこの国をどこまで見届けられるでしょうか。もしかすると、とても早い内に、何かが変わるかもしれませんし、反対に私が生きている内には見届けられないかもしれません。難しい国です。