ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

仲直りした部下

最近、私の部下ふたりが冷戦状態にありました。Y君がいい加減な仕事ばかりするので、Sちゃんがキレたのです。Y君は平社員ですが、Sちゃんは彼の直属の上司にあたります。しかし、歳が近いふたりはこれまで互いに遠慮しあって本音でぶつかったことがありませんでした。ですから、Y君はいまひとつ彼女のことを「上司」だと認識できずに来てしまい、単純に同僚が自分に意見をしてきたような感覚で受け止めてしまったようです。


Y君は、Sちゃんの感情的に怒り狂う態度に閉口してしまい、彼女にメールを送りました。少し時間をおいて、冷静になってからの抗議文のようでしたが、「職場の人間関係の悪化は耐え難い。あなたの感情的な意見を聞いていると、上司失格だと思う。こんな環境では働きたくない。僕は、旧正月前に会社を辞める覚悟だ」…とかなり切迫したメールでした。


Sちゃんは、私を味方につけようと、泣きついてきました。


ふたりの共通の上司である私は、どちらか一方の言い分だけを聞くことはしたくない反面、なぜSちゃんがキレたのかは、日ごろのふたりを見ていれば納得できることだったので、「あなたの言ったことは全て間違っていない」とまず伝えました。しかし、どんなに感情的に意見したあとでも、いったん冷静になって激したことを詫び、あらためて自分の真意を論理的に伝えなければダメだと厳しく叱りました。それに、相手の言い分を聞く余裕もなければダメだと…。


すると彼女は、「そんなこと自分には出来ない」と情けない顔をしました。母親に向かってべそをかく子どものようでした。どうしても自分が100%正しいと主張したいようで、なだめてもすかしても引きません。ところが、「それじゃあ、Y君に嫌われちゃうよ」と私が言うと、突然泣き出したのです。つまり、自分は彼の上司として正しいことを意見したのに、なぜ嫌われ者にならなきゃいけないのか。間違っているのはY君のほうで、上司の忠告を素直に聞けない彼の態度を、私から諭して改めさせて欲しかったようなのです。


中間管理職というのは、つらい立場ですね。自分自身もこれからまだまだ成長していかなければいけないのに、部下の成長を促し、自身の上司からは無理難題を押し付けられる。私もかつて通ってきた道だけに、彼女の気持ちは痛いほどわかりますが、ここで私がふたりの間に入ることは、子どものケンカに割り込む親のようで、よろしくありません。泣きじゃくる彼女に、「部下というのは上司に睨まれているとずっと緊張しつづけなければならないんだよ」「叱ったあとは、必ず部下の緊張をほぐしてあげなければいけませんよ」「そして、これからも一緒にがんばろう、と励ましあえなければ、叱ったことの意味がゼロになるんだよ」と語り掛けました。すると、彼女は少し落ち着いたようで、黙ってうなずきました。“よっしゃ! このタイミングしかない!”と私はもう一度、厳しい表情で、彼女に追い討ちをかけました。「今、この場でY君にショートメールを送って、感情的になったことを詫びなさい。そして改めて話し合いたいと伝えなさい」と言いました。彼女はへこみきった表情で、ショートメールを打っていました。


あれから一週間。どうやら雪解けを見たようで、今日はふたりとも仲良く仕事をしていました。一体どうやって仲直りしたのか、さっぱりわからないのですが、ふたりが少し大人に見えました。あぁ、なんだか、私のほうが疲れちゃったよ。みんな仲良くやってください。