ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

今日、戦争が始まらなかった訳

中国が今、こんなに焦っているのにはいくつかの理由がありますが、私は以前から言われている「2022年問題」が一番の要因ではないかと思っています。沖縄返還から50年となる2022年。米国が尖閣諸島も含めた沖縄諸島を日本に返還したと明言しているわけですが、日本の実効支配が50年続くと国際法判例で、日本の領土として定着してしまう可能性がある、とそれを危惧しているのでしょう。あと10年の内に、尖閣諸島の領有権を得ておかないと、本当に日本のものになってしまう、という危機感が中央政府には必ずあります。


第二次世界大戦の頃と違って、武力によってアジアの列島線を奪い合うことが今は難しくなっています。なんだかんだ言って、この列島線はアメリカの同盟国や友好国が実効支配をしているからです。いくら中国といえども武力で奪い取るという決断は出しにくいわけですね。国と国とが会議の席で議論し、話し合いで問題を解決していく時代にあって、中国は世界から弾き出されることをとても恐れています。つまり世界的世論が中国を見放すことです。中国脅威論がすでにあちこちで語られている中、これ以上無茶なことをすると国が危ないということは、当然中央政府もわかっているのです。


また、実際に過激な行動に移せないという事情も中国は抱えています。尖閣諸島をはじめ、ベトナムやフィリピンの南沙諸島など、中国が領土を主張する島々は、どういう形でその領土を主張しているのか、どうやって相手国の動向をうかがっているのか、それを知っておく必要があります。中国近海の領有権問題に関わっている中国の公的機関は、「5頭の龍」と呼ばれています。日本でいうなら、外務省、国土交通省自衛隊(陸海空)、海上保安庁農林水産省、漁業協同組合などに類する各当局や関連機関が、中国には5つあり、それをまとめて「5頭の龍」と呼んでいます。まあ、言ってみれば海の守り神という意味ですね。彼らが今、徹底的に尖閣周辺を航行し、監視を行っているわけなのですが、中に漁船やら軍艦まがいのものやら、いろんな船が入り混じっていることこそが、武力に訴えられない中国の事情を映し出しています。つまり、この5頭の龍、それぞれが勝手に動いているんです。それぞれ甘い汁が吸いたいという人たちの集まりですから、この5頭が一致団結することはかなり難しい問題でしょう。中央政府もあまり団結させようと真剣には考えていないと思われます。というのは、日本が領有権の問題に対して、非常におっとりした国で、外務省任せ、自衛隊任せな、中途半端な対応をしているためです。だから、中国も安心しているのだと思います。


でもだからといって、おっとり構えている事態ではすでになくなっています。中国は沖縄本島でさえ領有権を主張しているのですから、尖閣はもとより南西諸島防衛も視野にいれて、日本は徹底的に準備をしていく必要があると思っています。