ひだまりの居場所

精神障害者をはじめ、生活困窮者の心に寄り添うブログです。

人として扱われなかった人々

追突、脱線、転覆事故があって、たくさんの中国人、日本人と、中国という国のあり方について、いろんな話をしました。そして、話せば話すほど感じることは、中国人も日本人もほとんど同意見であるということです。


日本も原発事故の後処理の問題で、国民の願いと政府や関係機関の思惑とにギャップがありすぎて、多くの国民が失望していますよね。中国も全く同じです。むしろ、中国国民の方がより政府に対して不満をあらわにしているように感じます。


彼らはこれまで、数千年の間、権力者以外の人間は人として扱われないという常識の上に生きてきました。平凡な一国民には何の力もなく、ただトップの思うままに従い、時には大いなる犠牲を払いつつも、耐えて耐えて生きてきました。毛沢東という英雄は、こういった背景が生んだ一時代のカリスマだったわけです。


ところが、この数年で、インターネットが急速に普及し、ある程度、政府への不平不満を公に対してこぼすことができるようになり、また、瞬時にして同志が見つかり、集うことができるということに、喜びを感じるようになってきました。もちろんこの国には、ネット検閲が布かれていますから、本当に知りたい情報を手に入れる自由はありませんが、今回のように大事件が起こると、政府の情報統制も追いつきません。携帯電話などを使って、現地の人たちが即時ネットに書き込みをし、事態を暴くので、世界中の人たちが「真相」を知ることができます。中国が真の姿で世界とつながっているのは、唯一インターネットだけなのです。流血のレボリューションよりも、言論のレボリューションを起こそうとする彼らの姿勢には、インテリジェンスさえ感じます。


今日、ある中国人の男の子が、私に言いました。
「人権問題について、政府は内政干渉だと言っていますが、アメリカや日本が僕達中国人民の味方をしてくれていると思うと、本当にありがたいですよ」


日本人の中には、中国政府のやっていることと、中国国民のやっていることを同一視している人も多いですが、これが日中友好への妨げの一因になっているように思います。


今回の事故で、まず救助に手を差し伸べたのは、地元住民と助かった乗客たちでした。そして、血液センターで献血を呼びかけると、周辺の人々がこぞって献血に協力し、「これから献血に行くんだ」とタクシーの運転手に告げると、運賃を受け取らない運転手が続々と現れたと言います。


彼らは、これまでの中国の長い歴史の中で、こうすることでしか、己を守ることができず、愛する家族を守ることができず、仲間を守ることができなかった人々なのです。じれったいほど人間的なこの行為に対し、日頃、中国人の間で大いなるストレスを溜めている私でさえも、暖かいものを感じています。そして、そういう話を聞くと、この国に来て良かったと心から思います。


中国人は、東日本大震災で日本人が互いに助け合う姿を見て、心を打たれたと言います。私の周囲の人たちもみんなそう言っていました。それは、中国の報道が、日本人が助け合う姿を大きく取り上げてくれたからです。


日本は、中国の災害や事故の報道で、何を伝えているでしょうか。私は、否定的な報道と同時に、この国に生きる人たちの真の姿も、もっと積極的に伝えて欲しいと心から願っています。


<お願い>
もしも、コメント欄に書き込みをしてくださる方がありましたら、どうか文中に、「レボリューション」という言葉を日本語に訳した漢字二文字だけは、決して入力しないでください。検閲にかかり、中国からこのページにアクセスすることができなくなってしまいます。よろしくお願いいたします。